a bull pup

ワトスンとレストレードびいきの シャーロッキアン見習いが綴るぶろぐ

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「最後の挨拶」で終わりだと思っていたので、すっかり忘れていた作品です。
一番親しんでいて、何度読んでも楽しい物語です。

島田荘司先生の巻末エッセイでは、それまで知らなかった興味深い話が紹介されていました。
内容も面白かったですが、さすが作家、文章に引き込まれました。
短いエッセイなのに本編より印象深いです。


さて、その本編。
相変わらず気の抜ける翻訳で、悲しかったです。

あの印象的なシーンがこうなりました。
「足跡ですか?」
「足跡です」
「男性の? それとも女性の?」
 モーティマー医師は、妙な目つきをちらりとこちらに向けた。答えるその声が、そっとささやくようにかぼそくなった。
「いいえ、ホームズさん。巨大な猟犬の足跡だったのです!」

……あ、ありえない_| ̄|○ il||li
ちなみに原文はこうです。
"Footprints?"
"Footprints."
"A man's or a woman's?"
Dr. Mortimer looked strangely at us for an instant, and his voice sank
almost to a whisper as he answered:
"Mr. Holmes, they were the footprints of a gigantic hound!"


訳としてはさほど間違っていないのでしょうが、この、一瞬ぞくっとさせる文章の間が、どこへいったのやら(つД`)

どう考えても、「いいえ」って最初に答えたらダメでしょう……。
「ノー」じゃないんですよ。返答は。
「マンガ家? 小説家?」と聞かれて、「いいえ、詩人です」と答えるのとは、まったく違うんですよ。

モーティマー医師がなぜ変な顔をしたのか?
「男ですか? それとも女ですか?」とホームズが、「人間のもの」という前提で質問してきたからですよ。
だからひっそりと「ホームズさん」と呼びかけが入るんです。コナン・ドイルの物語が映像として頭に浮かぶのは、そういう人間心理に基づく細かい描写が蓄積されているからですよ。
「いいえ」って入れるだけで台無しですよ。

記憶に残るシーンなので抜き出してみましたが、全体的に (((´・ω・`)カックン…となりました。
翻訳家の特色なのかもしれませんが……悲しい……。

しかし、それより許せないのは我が愛しのレストレードたんの口調がぞんざいなことです。
(〃*`Д´)舐めんなよ!
フェレット似なんだぞ。
フェレット可愛いんだぞ。
私の中ではものごっつcuteな存在と認識されています。
で、出来ればcuteで紳士な存在でいて欲しい……。




まあ、文章については毎回書いているような気がするので、ひとまず置いて。
内容は相変わらずワトスン先生大活躍でヮァィ━━━(*ノ´Д`)ノ━━━!!でした。
バリモアをつけ、セルデンをつかまえようとする行動力。
気まずい思いをしてもホームズとの約束を守ろうとする誠実さ。
そして逃げていくものを撃つことが出来ない優しさ。
もうね、ワトスン一人だけで昨今の推理小説なら主役を張れますよ。
特に、LLにカマをかけて情報をひき出し、その父親をわざと挑発して話をさせるテクニックは、プロの探偵のようです。
頑固な人とか偏屈な人の扱いにかけては、彼の右に出るものはないみたいですね。
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

ホワイトチャペルの恐怖〈上〉シャーロック・ホームズ最大の事件
ホワイトチャペルの恐怖〈下〉シャーロック・ホームズ最大の事件
題名からわかるように、切り裂きジャックの事件です。
読み終わりました。

面白かったです。うん。

メモなどが発見されるお約束の冒頭文で、なんだか涙ぐんでしまいました。
はっきりいって、いつもどおりの展開なのに、妙に切なさを感じます。
「発見」と言うより、まるで故人から届いた手紙のようです。
筆者の並々ならぬ力量が、ここからすでに発揮されているのでしょうか。


三人称だと、たいていワトスンの扱いがぞんざいなんですが、そんなこと……もなきにしもあらずだけど、まあそんなもんです……。
逆に、三人称なだけにいつもは語られないホームズの心情も書かれていて、楽しかったりもしました。
ホームズ、自分の死を覚悟しながら「ワトスン、怒るだろうなあ」とか考えてるんですもん(笑)
ふたりの距離感が絶妙ですね。
物語としても、三人称で正解だったと思います。
もしワトスンの一人称だったら、途中で飽きてしまっていたかも。

小説としてのクオリティが非常に高いです。
切り裂きジャックを扱っているせいか、ヴィクトリア朝の陰の部分が色濃く表現されていました。
それも説明的なものではないので読みやすいです。

見どころは……ワトスンと皇太子のビリヤード対決(笑)
というのは、半分冗談ですが、至極真面目な上下二巻の長編もかかわらず、テンポ良くどんどん読ませてくれる物語でした。



だがしかし、不満点はあります。
なによりも、myレストレード警部が出てこないヽ(`Д´)ノ
んー。ある意味、そのほうがよかったのかもしれませんが、ちらっとくらい登場させてくれたっていいじゃんかよ。

ラストもちょっと物足りない感じもします。
ワトスンのためでもあるとはいえ、たぶん、ホームズならそれでも打ち明けてしまうんじゃないかとも思いますし。

ともあれ、私が読んだ切り裂きジャックとホームズに関する作品の中で一番、詳細で緻密でスリリングで魅力的な物語には違いありません。
タイトルがパスティーシュっぽくないので見逃していた「ロンドンの超能力男」を読了しました。
っていうか、題名だけ見るとB級特撮のようだ(笑)

内容は……萌え死にました。
わとすん、かわいいよ、わとすん。
誰かのためならショーもぶちこわしにするし、銃弾の前にも飛び出すし、空も飛ぶし、肋骨折れててもホームズについてくし。
そんなワトスンが可愛すぎる♪

当時の有名人と絡ませるというタイプのパスティーシュです。
謎在り、怪奇在り、冒険在りの読みやすいお話。

レストレード警部が悪役みたいな扱いで、そこだけは悲しかったのですが、最後の最後で人質要員ですかっ!
ういやつめ。
見捨てられなくて良かったね、レストレード。←ちょっと心配した(笑)

「マイクロフトにはしばらく会ってないね」と私は言った。「最近はどんなことをしているのかな」
「マイクロフトに付き添っていたほうがいいんじゃないか、ワトスン」ホームズはそっけなく言った。「ぼくのろくでもない仕事にはそろそろうんざりだろう」


ワトスンがそこで「そうだね」と言うわけないのに、まったくこのお子様は、いちいち確認したがるんだから(笑)

もうお約束のようですが、ホームズに騙されていたワトスン先生。
いつもながら悲惨です。
怒るのも無理ありません。
「ぼくの協力など、きみにとってはもう意味がないんだ。もう終わりにしたほうがいいようだな」

絶交宣言されてしゅんと垂れ耳になるホームズ。
いつもならそこで甘やかすところですが、怒り心頭のワトスン先生は、これも放っておきます。
怒ってる怒ってる♪
でも、後になってホームズが
「たぶん、きょうきみが言ったことは正しいのかもしれない。ぼくらの関係は――少なくとも仕事の関係は――終わりにしたほうがいいのかもしれない」

と言い出すと、あたふたと否定するんですよね。
結局ワトスン先生はワトスン先生です。

この可愛いワトスン先生と、フーディーニ(超能力男)の交流も見どころです。
超能力男というか、天才マジシャンなわけですが。
なんで「超能力男」なんて邦題をつけたんでしょう。いまいちあってない気がします。
まあ、なにはともあれ、ワトスンが勘違いでショーをめちゃくちゃにしたり、フーディーニの脱出劇をたった一人の観客となって間近で見つめたり。
面白い。
このフーディーニとホームズという天才ふたりに挟まれて、ワトスン大苦労です。
なぜ一介の内科医の私が、二人の傷つきやすい男の虚栄心を満足させてやるなんてことをしなければならないのだろうか?

なんて考えています。この一文に笑いました。
ワトスン先生、それがあなたの生まれ持ってきた運命なんだよ、きっと。
実際、ワトスン先生がいなきゃ、野放しのふたりはどうなったことか。
「ハリー」私はやさしく制した。「ホームズの言うことはきっと正しいと思うよ。彼の計画に従おうじゃないか」
「でも……わかったよ、ジョン。きみが言うならそうしよう
 私がフーディーニをなだめるあいだ、ホームズは私たちの親密さにちょっととまどった感じだったが、黙っていた。

面と向かって罵倒されても表情一つ変えないホームズが、いつのまにか「ジョン」「ハリー」と呼び合っているふたりに動揺してるよ。動揺。

ワトスン先生にサーの称号とかは要らないですね。
「猛獣使い」の称号だけで充分です。

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